日乃出鶴 ピュア茨城特別純米 里美(井坂酒造・常陸太田市)
やっぱりピュア茨城面白い。
今まで呑んだピュア茨城シリーズは全て甘味のある酒だった。
この日乃出鶴が醸すピュア茨城は全く違った酒だ。
簡単に言えば淡麗辛口。新潟県の酒蔵がお家芸としている酒質である。
ちなみに淡麗辛口な酒こそ完璧な日本酒のような誤解があるのだが、決してそんなことはないと思う。
それはあくまで個人の好みの問題だ。濃醇甘口な酒だってよいものはよい。
そもそも辛口って意味分かんないし。唐辛子なめてるような酒なんか呑んだことない。
要するに甘味の対義語なんだろうね。多分。
甘くないって意味での辛口。僕の中では。
淡麗辛口ブームの牽引役になったのは、石本酒造の越乃寒梅と丸山酒造の雪中梅であろう。
人気に火がつき生産が間に合わず、蔵元の意思とは裏腹にプレミアム価格がつけられ転売が繰り返されるという、現在の十四代のようなものであった。
さて、淡麗辛口という酒質は、要するに味が淡く甘味のない酒であり、スッキリとしているのが特徴である。
特に水のような酒がよいとされる。
極端な例をあげれば、白龍酒造の上善如水や久須美酒造の清泉だろう。
僕は水のような酒もいいなとは思うが、淡麗な中にもきちんと米の旨味を残している酒が好きである。
まぁ、ひとえに淡麗といっても酒によって味わいが違うから、そこがまた面白いのだが。
またウンチクだらけになりそうなので話を戻そう。
この酒の味わいは、するっと入って後からまろやかな旨味がくるタイプである。
「へ」の字型だ。
やや淡い感じで甘くない。
旨味の質はまろやかな感じ。
結構いい酒だなぁ。冷やからぬる燗まで試してみたが、常温で呑むのがベストである。
ゆっくりとダラダラ呑むにはこういう酒が呑み疲れなくてよい。
僕の親父さんが喜びそうな酒だ。
親父さんにも呑ませてやろうかなと思ったけど、思わず全部呑んじまった(笑)。
また見つけたら買い置きしておいてあげよう。
ところでこの酒のタイトル「里美」というのは、蔵元のある旧里美村地区からつけられている。
昔僕は里美村に大変お世話になっていたし、今でも縁の深いところだ。
そこはまるで水墨画のような趣きのある、やまあいの地区だ。
みんな親切な人ばかりでいつも良くして頂いている。
この間久しぶりに里美にある農産物の直売所に寄ったとき、この酒を見つけた。
里美地区は色んな名物がある。蕎麦も美味しいし、里美ジェラートなるアイスクリームも絶品だ。
ちなみに、ぬく森の湯という温泉は美人の湯として有名である。
久しぶりに里美を堪能した気分になった。
日乃出鶴の蔵元、井坂酒造店のホームページはこちらから
香りの高さ:控えめ
味の濃淡さ:やや淡い
やや淡麗で辛口な味わい。まろやかな旨味がとても良い。呑み飽きないうまさ。