霧筑波 夕霧(浦里酒造・つくば市)
夕日が沈む筑波山の裾野に立ちこめる霧。
夏に出た夜霧につづく限定バージョン。
ひやおろし茨酒、第7弾。
夕霧は純米のひやおろしらしい。
10月に出てくるあたりがよい。
しかもだ。
2年近く熟成させた上での出荷らしい。
確かに。
味わいが安定してる。
このあたりの配慮っていうか。
ひやおろしムードには敢えて乗らずに。
本当に旨い酒だけを出してくる浦里さんがすごい。
買った酒が旨い。
呑み手にとってはそれが一番嬉しい。
そのあたりのぶれない姿勢はもちろん酒にも出ている。
濃醇旨口が主流になりつつある昨今、であるが。
時流に流されない芯の強さ。
それが、霧筑波の淡麗辛口。
〆張鶴とか八海山とか。
メジャーどころで例えれば。
系統は同じであれ。
霧筑波は浦里酒造だけが醸す味である。
まぁ、当然ながら。
はっきり言おう。
僕は、新潟のどの蔵よりも霧筑波が好きである。
しかも、ぶっちぎりで。
この夕霧の味わいについて。
まず、当然ながら余計な雑味がない。
香りは控えめ。
味は淡麗ながらもしっかりと米の風味を感じる。
穀物と酵母が醸す落ち着いたフレーバー。
甘味・酸味は微か。
この酸味がないってとこが、軽快な呑み口を作ってる?
旨味からアルコール感(辛味?)が広がりさっと通り抜ける。
そして余韻は非常にスッキリしている。
この香りと味のバランスがちょっとでも崩れると霧筑波ではなくなる。
これ以上香りが強くてもだめだし、味が淡麗でもいけない。
本当に微妙なさじ加減だ。
紙一重。
とにかく絶妙なのである。
冷やもよいが、人肌燗からぬる燗あたりがベスト。
燗酒にすると本当にやばい。
食事を邪魔しない味わいは霧筑波ならでは。
料理を立てるその控えめな姿勢がよい。
ピーナッツだの適当にその辺のものつまみながら酒を楽しむのもあり。
するっていうと酒の旨味が語り始めるから不思議だ。
主役を演じきる力があるのも霧筑波なのである。
【メモ】
◇香りの高さ:控・★・・・高
◇味の濃淡さ:淡・★・・・濃
◇飲み頃な温度:人肌燗〜ぬる燗
◇余韻:キレよし
◇含み香:落ち着きのあるフレーバー。
本物の淡麗辛口がこれだと思う。燗酒がオススメ。いや、絶対に燗だ。まじで旨い。