来福 純米大吟醸 拾年貯蔵(来福酒造・筑西市)
特別な酒を呑んだ。
年に一度の贅沢。
新春来福シリーズ。
これが完結編。
この酒はゲンカツギというよりは、
思いっきり趣味全開で買った。
茨酒党としては絶対外せない。
そんな酒である。
元日に来福の純米酒が届くけど、
それはそれとして。
正月に呑む贅沢な酒を、
今年は何にしよっかな、って。
まぁ、あれこれ考えて。
やっぱり、知可良だよな。
いやでも、他のも旨そうだし。
幅広げよっかな、なんっつって。
ブレインストーミングを楽しみつつ。
そんで、まぁ、決めかねて。
とりあえず、
最終的に酒屋さんで考えっか、と。
安藤酒店に行ったわけである。
こんちわ、って挨拶しながら、
ショーケース見たら、
見慣れない来福がある。
なんですか、この来福は?
と、すかさず聞いてみる。
十年寝かせた古酒だよ。
しかも純米大吟醸。
と、安藤さん。
マジか、決まりだな。
即決。
っつう意外な展開になった。
しかも他の酒すら見ずに、だ。
正直言って、だ。
ただの衝動買いである。
これください。
と、勢いよく言った後で。
同時に。
やべー、幾らなのか聞き忘れた。
と、焦る。
「男に二言はない」
ってのが人生のモットーだから。
もちろん今更要らないとは言わないが。
なにせ、さ。
そんで兵庫県産とか書いてあるし。
40%精米だ?
全然ときめかないどころか焦りが募る。
限定醸造?
やめてくれ!
僕の頭の中の計算機が、
この酒を勘定し始める。
古酒の世界は詳しくないから、
相場はよくわかんないけど。
普通の純米大吟山田錦だったら、
四号瓶で3〜5千円ぐらい?
んで、熟成中のコスト入れてだ。
安くても7、8千円。
いや、1万か。
せめて、そんぐらいであってくれ!
と願いつつも。
結構高いのも見たことあるな、と。
1万超えもあり得る?
十分あり得るな!っつう。
手持ちで足りるか?
足りなかったら結構格好悪いな。
と、心の中でボソボソつぶやく。
僕の焦りが伝わったのか、
安藤さんがさりげなく言った。
これね、¥5250。
マジか!さすが来福!
なんて良心的なんだ!
そうだよな、来福だもんな、と。
ときに、安すぎじゃん?
って心配になるくらいの、
価格設定にも定評がある来福酒造。
よかったぜ、予算内だ。
と、ほっとする。
僕は古酒をあまり呑んだことがない。
もう、呑む前からワクワクしちまった。
どんな味がするのかって。
僕は古酒らしさがどういうものかは、
よくわからないが。
このお酒に関しちゃ、
マイルドさとワイルドさを、
兼ね備えた感じ?
多分、熟成の成せる技なんだろう。
まろやかな感じがする。
わりとコクもあって、
じんわり味が広がるっつうか。
来福らしいワイルドも感じつつ。
麦焼酎のようなフレーバーもあり。
へー、面白いな、と感じた。
そして酔うほどに、
旨いなぁ、と。
幸せな気分になる。
ちなみに冷やが一番旨い。
またひとつ。
酒の世界観が広がったな、と。
茨酒マニアとしては、
大変満足のいく一本となった。
【メモ】
◇香りの高さ:控 ・・★・・ 高
◇味の濃淡さ:淡 ・・・★・ 濃
◇甘味:★
◇含み香:麦焼酎のようなフレーバー
マイルド&ワイルド。コクがありなかなか呑み応えのある酒。