霧筑波 吟醸 瓶燗火入れ(浦里酒造・つくば市)
仕事からあがって。
帰り道の頭の中は。
仕事のことはもう完全に。
パチン、スイッチオフ。
脳みその回路は。
晩酌に切り替わっている。
まず、ひと口。
含む瞬間まで、が。
ものすごくせっかちな人間で。
やるべきことを。
って、言っても。
着替えるとか、風呂入るだの。
その程度のことだが。
せっせと片付けて。
冷蔵庫から一升瓶を取り出して。
今日もこんぐらい?
おっとっとっ。
なんて、心の中で呟きながら。
トクトク、と。
霧筑波を。
グラスに注いで。
ダイニングテーブルにつく。
すっ、と。
ひと口含んで。
じわっ、と呑み降す。
ぷしゅー、と。
空気が抜けるというよりは。
せっかちだった男が、急に。
落ち着き払って静かになる。
静寂な心の中に。
酒のひと雫がぽたりと。
緩やかな円を描く。
静かに広がる。
あー、命の水の調べ。
哲学的な意味は全くないけど。
あーあ、生きててよかったな、と。
かみさんと娘たちの顔を見て。
そう、思う。
うちはメシドキにTVをつけない。
娘たちの1日の出来事やら。
かみさんの子育てコラムなんかが。
俺のニュース番組だ。
へー、なんつって。
かみさんの料理をつまみながら。
ゆるりと呑む。
酔いが心地よくまわると。
自分の世界に入りこんで。
錦織の勝因はあのポイントだった。
ジャズって本質的にBGMだなー。
そういや、漬物食べ忘れてる!
ん、明日健康診断か?
呑んじまったよ(笑)
とか、結構どうでもいいことを。
ひとりつらつらと考えては。
グラスに入ってる吟醸酒を。
また、ひと口。
あーうめーなー、と。
しみじみ、そう感じる。
特になんもない日常。
酒呑んだら気持ちよく。
さっと寝ちまうんだ。
早寝早起きが信条だから。
娘たちより前にとっとと寝て。
かみさんより先にさっさと起きて。
ぱっと、1日を過ごし。
また明日の晩。
霧筑波をゆっくりと呑む。
ってのが、生き甲斐で。
小川酵母の醸す香りの中で。
川面に浮かぶ小舟のように。
ゆらゆらと。
酔いどれるだけの人生。
に、どんな意味があるか?
は、知らないけど。
霧筑波がうちにあるってだけで。
悪いけど。
十分、楽しい人生だ。
【メモ】
◇香りの高さ:穏 ・★・・・ 華
◇味の濃淡さ:淡 ・★・・・ 濃
◇甘辛の印象:辛 ・・★・・ 甘
◇含み香:小川酵母の醸す霧筑波フレーバー
瓶燗火入れという手間暇をかけて、美しさに磨きをかけた逸品。
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